レンズレビュー|Viltrox AF 75mm F1.2 Pro  Xマウント

From:影像狗

中国メーカーのViltroxは先日、富士フイルムXマウントのオートフォーカスレンズ「AF 75mm F1.2 Pro」を、ブランドの新しいフラッグシップモデル「Proシリーズ」としてデビューさせ、富士フイルムユーザーに提供しました。 今回は、Viltrox AF 75mm F1.2 Proの使ってみた感想などをご紹介していこうと思います。では、このレンズは「 Pro」の称号にふさわしいかどうかを一緒に見てみましょう。

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レンズの仕様

焦点距離: 75mm (APS-C)
視野角:21.35°
絞り値:F1.2-F16
絞り羽根:11枚
フォーカス範囲:0.88m-♾️
最大倍率:0.1倍
外形寸法:φ87×101mm
本体重量:約670g
フィルター径:φ77mm

外観デザイン

Viltrox AF 75mm F1.2は、コーラの缶より大きく、重さは約670g(レンズキャップ、フード含まず)と、ずっしりと重量感のあるレンズです。
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富士フイルムX-H2シリーズ(660g)よりも少し重く、富士フイルムの軽量モデルをお持ちの方は、このレンズと組み合わせると、ボディ全体が前傾しているのが実感できるはずです。
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レンズ構成図からわかるように、レンズ構成は11群16枚、絞り羽根枚数が11枚です。この中で、EDガラスを3枚採用した光学設計により、パープルフリンジの発生を効果的に抑制、マルチコーティングによりフレアやゴーストを軽減、4枚の高屈折率ガラスで色収差補正に効果を発揮することで、必要なガラス枚数を削減しました。
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ボディは全金属製で、マットブラックのカラーリングにより、埃や指紋が付きにくく、高級感のあるレンズです。また、レンズは防塵・防滴に配慮した構造になっており、屋外での撮影でも安心です。
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フレアを効果的に抑えるために、花形レンズフードが付属しています。
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さらに、外出先で持ち運ぶ際にレンズを保護するための収納袋も付属しています。レンズフロントキャップは締めた状態で密着しているので、フードの取り外し時や収納時に外れてしまうことはほとんどありません。
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フォーカスリングはきちんと減衰しており、スムーズに回転します。インナーフォーカスにより、焦点合わせ時にレンズ全長と重心が変化しないため、雲台と組み合わせて使用すると、バランスとコントロール性の向上が期待できます。
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レンズボディはAF/MF切り替えスイッチのみで、横にはProの文字が刻まれています。また、このレンズはViltroxの新しいフラッグシップである「Proシリーズ」のデビューでもあります。今後、Viltroxはさらに多くのProシリーズのレンズを提供していきますが、どのマウント、どの焦点距離をお望みでしょうか?
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Viltrox AF 75mm F1.2は、階段絞り設計を採用しており、F1.2~F16の間の各絞りは1/3段ごとにクリックがあります。回転時のガタツキ感が目立ちます。
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F16とAutoの間のダンピングはきつく、誤って触れて絞り値を変更することを防ぐことができます。富士フイルムの純正レンズと同じように、カメラダイヤルで絞りを調整するよりも、絞りリングを回す方が簡単で直感的に操作できます。
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レンズのフィルターサイズは77mmで、レンズ前玉は黄緑色を示し、内部は透明になります。
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レンズマウントには耐久性に優れた真鍮メッキを採用し、Type-Cポートはファームウェアのアップグレードに対応しています。
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テスト

以下のテストはすべて、Viltrox AF 75mm F1.2と4020万画素の富士フイルムX-H2を組み合わせて行った結果です。

  • 解像性能検証
解像力のチェックには解像力チャートを各絞り値で撮影して、中央と周辺部のデータから解析します。
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全体として、このレンズは4020万画素のFUJIFILM X-H2に、ほぼ絞り全域で高い解像性能を発揮することができました。

F1.2の大口径レンズに対するイメージは、開放絞り値で画質が軟調になるのが一般的です。しかし、このViltrox AF 75mm F1.2レンズは、中央部が絞り開放で十分にシャープで圧倒的な解像力を示します。周辺部は中央の画質ほどではありませんが、少し柔らかくなっても画像全体にはほとんど影響がありません。

F2では、中央の画質がやや改善され、周辺部分の解像力もシャープになります。その後、絞りを絞っていくと、F2.8からF8にかけて、中心部、周辺部ともに常に高い画質を維持することができます。F11では中央部の画質がわずかに落ちる程度ですが、画像に影響はありません。F16では中央部と隅の画質がわずかに柔らかくなる感じです。

MTF曲線を細かく見ると、全体的に比較的穏やかで、特にF8では周辺部と中心部の写りの差が少なく、解像力とコントラストが優れていることがわかります。また、良好なボケ描写と優れた色分散・色収差抑制効果がを実現しています。つまり、このレンズの解像性能はProの称号に十分ふさわしく、お金を払う価値があります。
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  • ボケ味の検証
このテストでは、カラー電球を背景として、右側のフィギュアの顔に焦点を合わせた状態で、各絞りでのボケ味を確認するものです。
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開放F1.2ではボケ味が顕著で、画像中心部の玉ボケは比較的滑らかだが、四隅には口径食によるレモン型になっています。絞りを絞ると、口径食の影響が小さくなりますが、玉ボケもだんだん小さくなり、ボケ味は当然ながら開放より少なくなります。F8くらいまで絞ると光条が大きくなり、くっきりと見えています。
最短撮影距離は0.88mとあまり近くないのですが、中望遠はある程度の圧縮効果をもたらすことができ、ボケ味も楽しめるつくりになっています。
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  • 周辺減光の検証
このレンズは、開放F1.2で写真の四隅に暗い部分が見えるが、絞ると周辺光量落ちが抑えられます。絞りをF2.8程度まで絞ると、気になる程の周辺減光の影響は少なくなって、F4ではほとんど出ないのです。
  • パープルフリンジの検証
開放F1.2では、光源が強いとハイライト部分の境界線にパープルフリンジが発生し、色もわずかに分散しています。1段絞っていくと色の分散がなくなり、パープルフリンジが残り、F4まで絞ると紫色の縁取りが消え、ほぼ完璧に収差を抑えるレンズである。
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  • 歪曲収差の検証
水平・垂直の壁を撮影しても画面の歪曲はほぼ発生しませんため、レンズの歪曲収差がよく抑えられていることがわかります。
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  • フォーカスブリージングの検証
マニュアルフォーカス時の人物と白線の距離の変化を見てみると、このレンズにはフォーカスブリージングが存在しています。動画撮影では、ピントの位置を変えるときの映像への影響も配慮する必要があります。
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  • 暗いところでのピント合わせ
周囲の明るさを抑えることで、低照度下でピント合わせの性能を検証しました。ピント合わせを見やすくするために、後処理で通常の露出に引き戻し、元画像を小窓で表示しています。
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オートフォーカス時のピント合わせが少し遅くなりますが、最終的にはフィギュアの顔にピントが合わせることができました。非常に暗い場所でも、ピント合わせのスピードと精度は問題ありませんでした。

  • AF連続動作の確認
AF連続動作に関しても、このレンズは良い性能を持っています。人形をさまざまな速度で動かしても、ピントはしっかりと瞳に追従し、高速移動時のブレは正常です。
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人形を左右に動かしてピントを合わせる被写体を切り替える際、ピント合わせが非常に速く正確で、ピントが合わないこともありません。
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動画撮影時には、ピント合わせのスピードと精度が高く、富士フイルムの新機種の被写体検出機能により、大口径でもスムーズなピント追従が可能になりました。ただし、ピントの位置が変えるときに、フォーカスブリージングが見えることに注意してください。

  • ゴースト・フレアを検証
この項目では、カメラのレンズを固定し、焦点面から約3mの位置に懐中電灯を持ち、光源を水平方向に回して、画面にゴーストやフレアが発生しないかどうかを確認しました。
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強い光源が直接当たる角度では、ある程度のゴーストやフレアが発生しますが、全体的にはゴーストやフレアをよく抑えており、撮影時に強い光源を気をつければ回避することができます。

商品ページ

Amazon:
http://www.amazon.co.jp/dp/B0BV267RBC?ref=myi_title_dp

楽天市場:

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PERGEAR公式:
https://pergear.co.jp/products/viltrox-75mm-f1-2

まとめ

Viltrox AF 75mm F1.2 Proは、フルサイズ換算で112.5mmに相当し、この焦点距離の大口径単焦点レンズは、強い圧縮効果を活かした写真を撮ることが可能で、ポートレートに最適です。

このレンズは、絞り全域で優れた解像性能を発揮し、大口径による顕著なボケ味と弱光条件下でも効率・品質を両立しているので、洗練されたぼけ描写や風景撮影などにもユーザーが活用できます。

また、パープルフリンジ、歪曲収差、周辺減光補正などに大きな欠点がなく、写真や動画撮影には十分なレンズである。この焦点距離で大口径の単焦点レンズをお探しの富士フイルムAPS-Cフォーマットのユーザーにとって、画質、ボケ味、フォーカスなど、「プロ」の称号にふさわしいViltrox AF 75mm F1.2は試す価値のあるレンズだと思います。

メリット:
1.F1.2からF8まで高い解像力
2.大口径による優れたボケ味
3.素早く、またはなめらかにピント合わせが可能
4、歪曲収差はほとんど残っていない

デメリット:
1.動画撮影時にフォーカスブリージングが目立つ
2.フォーカス移動があまりスムーズではない
3、レンズ本体は少し重い

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